私(こうほう支援室 池谷)は学生時代に、植物研究会に所属していました。植物研究会は歴史が古く、私の数年先輩たちもいまだに時々集まって活動をしていたりします。
現在も植物研究会は存在していて、活動を続けています。コロナ禍で活動が制限されていた時を経て、やっと通常の活動に向けて出発しています。
そんな様子の取材を植物研究会の代表にお願いしたところ、快く受け入れてくれました。今回取材に応じてくださったのは、農学部環境資源科学科3年の宮城 彩夏さんです。
宮城 彩夏さん
先ず、宮城さんのことからお聞きします。後で植物研究会のお話を伺います。何学科でしたっけ?
宮城
環境資源科学科の3年生です。
農工大を選んだ理由は?
宮城
もともと生物が好きでしたので、農工大を選びました。
受験の時どうなるかわからないコロナ禍の中で、気持ちをどのように維持していましたか?
宮城
ただひたすら耐えていたという感じです。
高校の授業ってどんな感じだったんですか?
宮城
コロナ1年目が高校3年生の時でした。オンラインでの授業もあったりして、その授業では、この問題を解きましょうみたいな感じの授業が多かったです。学校に行けない時は、プリントだけ配られたりしていました。
数学Ⅲ(数Ⅲ)なんかは大変だったでしょう?
宮城
中高一貫だったので、2年生の時に数Ⅲはほとんど終わっていました。
私たちの時代は、3年生は部活から退いていましたが・・・
宮城
私の一つ前の代表の方は3年前期に配属が決まる学科の所属でしたが、3年生の間を通して代表をされていました。
そのため、どちらかといえば3年前期の終わりから後期にかけて配属が決まる学科が多いことも関係して、3年生が代表をするようになったと思われます。
まだ、研究室には入っていないですか?
宮城
丁度今、配属を決めているところです。
土壌関連の研究室に入ろうと思っています。土壌の有害物質についての研究をしているところを狙っています。
土壌に関連する学科はいろいろありますよね・・・
宮城
そうですね、地域生態システム学科や生物生産学科にもあります。アプローチの仕方が違いますが・・・
相互に意見交換ができるといいですね。
マスターコースに進学を考えていますか?
宮城
はい、進学しようと思っています。今は、6割くらいの人が進学を考えているようです。
将来はどういう方向に進もうと思っていますか?
宮城
まだ具体的に決めていませんが、学芸員の資格が取れそうなので、その資格が使えるような仕事に就ければいいなと思っています。
博物館に勤めることはかなり難しいと思いますが、企業に入ってもその資格が生かされればいいなと思っています。
学芸員の資格は何かの役に立つと思いますよ。
それでは、植物研究会のお話を聞かせて下さい。コロナ禍で大学に入学して、植物研究会に入ろうとした動機は?
宮城
植物が好きだったので植物研究会に入りました。
コロナ禍で入学式も制限された中で行われていましたが、部員の勧誘ってどんな風にしたんですか?
宮城
私が1年生の時は、新入生全員がオンラインで集まるような機会があって、サークルの勧誘も各サークルがオンラインで行っていました。
1団体3分くらいで紹介していました。そのあと、各団体のオンライン上のブースにみんなが入って話を聞くという形式でした。
私の感覚で言うと、リアルでの会話の方が良いように思いますが、今の方々は特に問題なく対応できているんですか?
宮城
高校の時にすでにオンラインでの授業しかありませんでしたので、こんなものなのかなと思っていました。
今部員は何人ですか?
宮城
各学年4人で、全体で16人です。多くも少なくもないって感じでしょうか。大学院の方も時々来てくれます。
植物研究会は全員農学部ですか?
宮城
工学部の1人がいます。学園祭の時とか、作業があるときに工学部から来てくれます。植物が好きなんだと思います。
部費とか取っているんですか?
宮城
最近までは取っていなかったんですが、活動も増やしていくために部費を取ろうかという話は出ています。
学生会からの支援があるので、そんなに困ってはいないんですが、これからの事を考えると必要になってくるかも知れません。
同窓会も毎年20サークルに5万円ずつ支援しているんですよ。
宮城
今年、植物研究会は対象ではありませんでしたが、以前支援していただいたことがあります。
宮城さんはどんな植物が好きですか?
宮城
植物研究会に入る前までは、野に咲いている花が好きでしたが、今は樹木の葉の形やシダの葉を見たりして、植物に対しての見方が変わったと思います。
上の木の葉っぱを見たり、下の植物の葉っぱを見たりして、その植物の特徴を発見するのを楽しんでいます。
自分も園芸をしていますが、花を咲かせるために頑張っている葉っぱも愛おしく感じます。
今、部室はありますか?
宮城
武道場前の文科系サークル棟二階にあります。
部員は普段部室に集まったりしているんですか?
宮城
男子は、部室でお昼ご飯食べたりしています。あまり部室が大きくなく、コロナ禍だったので、部室に行かない習慣になっている人もいます。
6畳ぐらいで棚が置いてあったりしますので、狭いです。冬は火を使うと危ないのでカーペットみたいなもので暖を取っています。
植物研究会部室入口
部室に来ない他の部員との関係はどうですか?
宮城
年中会話しているわけではありませんが、信頼関係は築けています。
ラインで情報交換をしていて、レスポンスは良好です。学園祭の立て看板作りの時も皆集まってくれます。
私も50年以上前に植物研究会に入っていました。その当時は、府中キャンパスのオムニのテニスコートの前に部室があって、隣が野鳥研究会でした。一緒にフィールドに出たりしていました。
今活動は、フィールドに出たりしているんですか?
宮城
そうですね、植物園に行ったり、大学の中の植物観察をしたりしています。一番遠いところで、つくばの植物園に行きました。
植物観察の他には、近辺に生えているドクダミの葉っぱとか柿の葉っぱでお茶を作ったりしています。
ドクダミのお茶は、作り立ては飲めますが20分くらいするとすっぱくて飲みにくくなります。
ドクダミの花はいっぱい咲くと綺麗ですよね。匂いが嫌いな人が多いですが・・・
宮城
私もそう思います。植物が好きなので匂いは気にならないんだと思います。
昔は学内に、タンポポの中で関東タンポポ(日本のタンポポ)がかなり生えていましたが、今は西洋タンポポしか見かけないように思いますが・・・
宮城
今でも関東タンポポは学内で見ることができます。花をひっくり返すと、総苞(一般にはがく)が反っていないものがあって、関東タンポポだと識別できます。
1・2年生はもっと植物観察会に行きたいと思っているように思いますが・・・
宮城
顧問の吉川先生が府中の浅間山公園に連れて行って下さったことがあります。みんな、行きたいとは思っているんですが、今までコロナの問題があって、遠いところに行けていません。
府中市内にある浅間山には固有種の武蔵野キスゲという日光キスゲの仲間が自生しています。
宮城
日光キスゲは私も好きな花です。
府中市内の浅間山に咲くムサシノキスゲ
昔は、尾瀬に合宿に行ったりして、日光キスゲの群落を観察したりしていました。
宮城
部室に、尾瀬に行った時の記録があって、「昔は尾瀬に行ってたんだな」と思ったことがあります。
尾瀬は、春に水芭蕉が咲き乱れ、夏には日光キスゲが咲き乱れていて、とても感激します。テントを張ってそこをベースにしてあちこちの観察をしていました。
宮城
コロナ禍で十分な活動はできませんでしたが、そういった活動については、後輩に期待したいと思います。
合宿なんかしたいと思いませんか?
宮城
今までコロナ禍でそういった活動はできませんでした。自分は高3の時からコロナ禍で3年になってやっと活動が普通にできるようになった感じです。
私は高尾山によく行っていましたが、行った事はありますか?
宮城
修士の2年生で植物に詳しい方がいらして、連れて行ってもらったことがあります。
色々な植物が生えていて、観察しながらだったので、入山口までで1時間かかってしまいました。
地域生態システム学科の人達が、「樹木学実習」という授業を受けていて、その実習では200種類の樹木を覚えるという事が求められています。その授業を受けている人に合せて私も一生懸命覚えました。
昔は「ヤブレガサ」という部誌を作っていましたが、今は何か発行していますか?
宮城
コロナ禍という事もあって、私が入ってからはそのような活動はできていません。
卒業生との交流みたいなものはありますか?
宮城
修士1年の先輩が3年生のころはOB会があったそうですが、今はOB会はやっていなく昨年の学園祭に数名の先輩が訪ねてくれたくらいです。
そういう意味では、全くOBとの交流がないわけではありませんが、コロナ禍で十分な交流ができなくなってしまっていることは残念です。
私の先輩たちもいまだに時々集まって活動をしていたりします。ご紹介しますので、交流を持たれてはいかがですか?コロナ禍が一段落してこれからということでしょうか。
宮城
是非お願いします。植物をもっと知りたいと思いますので、先輩方に教えて頂ければと思います。
今度の学園祭はどんなことをしますか?
宮城
「樹木学実習」で部員が作ってくれた標本を展示して、その植物の説明文をつけようと思っています。来てくれた人に標本を見てもらって、葉っぱの形などからその種を類推することができる展示にしたいと考えています。
樹木の種類を調べる楽しさ、わかる楽しさを味わってもらおうと思っています。
学園祭用の立て看板
私たちのころは、写真を撮って画像をパネルに貼って展示したりしていました。コロナ禍で活動が制限されていましたが、これから色々とできるようになりますね。
昨年の学園祭は、人数制限があったようですが、今年は制限が解除されるんですよね?
宮城
今年は予約制や人数制限もありません。
植物研究会の展示は、野生動物研究会と教室の半分ずつを借りて行います。
5月の工学部の学園祭の時、高校時代に学園祭の経験のなかった一年生が、とてもうれしそうに楽しんでいたのを見て、ほっとしました。農学部の学園祭も、高校時代に学園祭を経験できなかった学生さんに十分楽しんでほしいと思います。
コロナの影響も少なくなって、これからだと思いますが、植物研究会の活動を盛り上げてください。
宮城
そうですね、後輩に期待するところは大きいですが、頑張りたいと思います。
【編集後記】
お話を聞いていて、やはりコロナ禍の影響は大きかったんだなと思いました。
ただ、昔の様にやればいいというのではなく、若い人たちが自分たちで活動の方向性を見つけて、植物研究会を盛り上げてくれたらいいなと思います。
私の先輩に、植物研究会の現役学生が交流を望んでいることを伝えたところ、快く受け入れてくれました。
50年の時を越えて新しい交流が生まれるといいなと思います。
こうほう支援室 池谷記