一般社団法人 東京農工大学同窓会

東京農工大学同窓会記念林

当地は、1941年12月から2020年3月まで、八王子市と東京農工大学同窓会の間で分収林契約を結んでいた一帯の森です。その造林から保育保全等の長い歴史の象徴として八王子市のご厚意により記念標柱を建てたものです。

高尾山から小仏峠、陣馬山へのハイキングコースに近く、城山の無線中継所から20~30分程度
日陰バス停または小仏バス停から徒歩で約90分 JR高尾駅・日影バス停から「農工大同窓会記念林」への行き方(例)

分収林(ブンシュウリン)とは

森林所有者、造林・保育を行う者、費用負担者の3者またはいずれか2者で分収林契約を結び、造林・保育したのち伐採して、その収益を分け合う森林である。江戸時代から行われている森林管理の形式で、明治時代以降に部分林という名称が認められる。その後、分収林となった。分収割合は3:7や5:5など契約で決まるが、戦後の分収林では本学同窓会林のような5:5が多い。

分収林契約の経緯

 

東京高等農林学校(東京農工大学農学部の前身)校長が、紀元2,600年記念林として分収林契約地を探すことを指示

1939年12月(S14) 南多摩郡浅川町(当時)と東京高等農林学校・駒場学友会との間で地上権設定契約を締結された。契約の概要は、スギ・ヒノキ・アカマツ林の造成を目的とし、学生の実地演習に使用すること、地代無しで将来の伐採収入の半々を、地上権者(東京高等農林学校・駒場学友会)と土地所有者(南多摩郡浅川町)が所得とすること、期間満了となった場合、現状のまま返還することであった。
1953年3月(S28) 浅川町と駒場校友会の間で分収林契約を継続契約した。
その後、15年ごとに契約を継続し、近年は八王子市と東京農工大学同窓会の間での契約となり、最後の契約は2020(令和2)年3月末日までであった。
2020年3月(R2) 分収林のおかれた現状から、主伐(皆伐)をおこなわず現状のまま分収林契約を解除し、八王子市に返還(地上部の人工林は寄付)した。

分収林の管理から同窓会の森への歴史

1941年(S16)

契約当年から数年は、東京高等農林学校の全ての科の各学年全部が造林作業に参加した。その後、戦争の影響等で参加学生が減少し、1945(昭和20)年は主に林学科学生が作業を行った。その後、戦後の混乱で造林地は手入れができずに放置された。


農工第3号(昭和41年)の村上崇氏の記事「同窓会の森は育っている」

1953年4月(S28) 6.98 ha、1959年(昭和34)年4月に0.2 haの植栽がされ、数年間に渡り下刈り作業が実施された。植栽木は面積にしてスギ60%、ヒノキ40%である。
1967年(S42) 除伐(侵入した広葉樹や不良な植栽木の伐採除去)、つる切り、枝打ちなどの保育作業が実施されはじめた。
1972~1973年(S47~48)

除伐、つる切り、枝打ちなどの保育作業が積極的に行われた。その後は間伐を行い、最後の間伐は1987~1989(昭和62~64)年にかけて実施された。
以降は、低頻度のつる切り作業を実施。つる植物による被害はほとんど発生していなかったため、林況確認時に目につくものを刈り取る程度であった。


農工通信第32号(昭和58年)の川口正夫先生・新井雅夫先生の記事「八王子分収林の林況報告」

2011年(H23)

樹木学実習の場所の1つとして利用されはじめ、現在まで継続されている。


農工通信No.82(平成23年)の渡辺直明先生の記事「同窓会の森(分収林)で樹木学実習」

林齢が60~70年生のスギ・ヒノキ人工林となり伐採の時期を迎えたが、利潤を目的とした主伐(皆伐)を行わず、以下の理由から分収林契約を解消し八王子市に林木を残したまま返還することとした。

同窓会は非営利型の一般社団法人であり収益目的の分収造林契約の継続は目的にそぐわない。木材価格が低迷し伐採搬出費を差し引いた立木評価額※が赤字になる恐れもある。裏高尾の観光資源の景観保持および昨今の豪雨災害の多発に対して皆伐の影響が危惧される。
※立木の評価額:丸太として市場で流通する素材が、素材単独で販売される予想金額から、立木を丸太に生産して市場に出すまでの経費を差し引いた額が評価額となる。立木を丸太にする場合、細い、短い、曲がっているなどの欠点があると使われない。一般的には、樹齢が高い方がこの歩留まりが高く、木材の量が効率的にとれ、また、品質も高まり、材価が高くなる。

農工通信No.100(令和2)年の戸田浩人先生の記事「八王子同窓会の森のこれから」

2023年9月(R5)

八王子市のご厚意により、旧・分収林の尾根の歩道に面した林内に「東京農工大学同窓会・八王子市記念林」の標柱を建て、造林から保育作業を行われた諸先輩の思いを馳せる象徴とした。