コロナ禍前に筆者(こうほう支援室の池谷)は、ヨット部のOBから「学生の部員が減ってきたので、ヨットの維持が難しくなってきているので、どうしたらよいか?」という相談を受けたことがあります。
その後連絡が途絶えていましたが、ヨット部は現在も存続しているようでした。そこで、現在の活動について、ヨット部主将の生命工学科3年の荒木晃太朗さんに、2025年10月27日にインタビューをしましたので、ご報告します。
当日は同窓会事務室でのインタビューをお願いしたのですが、地図を送らなかったにも関わらず、小金井地区から府中地区の同窓会事務室を調べて時間通り来てくれました。

荒木晃太朗さん
Ⅰ:はじめに
ご出身は?
荒木
東京都の八王子市です。八王子駅の近くで比較的街中です。大学には八王子から通っています。
何年生まれですか?
荒木
2004年です。
バブルをまったく知らない世代ですね?
荒木
話でしか聞いたことがありません。
服を買って一回来たら捨ててしまうという感じだったとか聞いていて、とても華やかな時代というイメージです。
そういう人ばかりではなかったと思いますが、ある意味日本が間違っていた部分かなと思います。
荒木
そうなんですね。
所属学科は何処ですか?
荒木
工学部の生命工学科3年生です。池袋、津川、浅野先生の研究室に入ったところです。
抗体とかDNAとかを扱っていて、病気に対する治療法を確立するとか、病気を発見する装置を考える研究室です。もともと製薬をやってみたいと思っていたので、この研究室を選びました。
生命工学というと、もともと生物が好きだったのですか?
荒木
数学が得意だったので、子供の頃から理系だと思っていました。
高校で、先生から「理系の大学に行くのだったら、物理と化学を履修したほうが良い。」というお話が有り、その二つの教科を履修しました。それでも生物には興味がありました。
農工大学のことを知っていましたか?
荒木
受験勉強を始める頃に、大学を色々調べて知ることが出来ました。
なんで製薬をやってみたいと思ったのですか?
荒木
中学3年時、コロナの影響で卒業式はありませんでした。
そして、大学受験の勉強をしている頃は、ちょうどコロナ禍真っ最中だったので、製薬に目を向けるきっかけになりました。
製薬会社に就職しようと思っていますか?
荒木
大学院まで行って視野を広げたうえで、製薬会社に就職しようと思っています。
就職後は開発系を目指していますか?
荒木
コロナも製薬会社を目指した理由ですが、祖母ががんで亡くなりました。
がんのような治りにくい病気を治したいなと思いましたので、そのような薬を開発できればと思います。
研究室に入るようになると、サークル活動は難しくなりますね。
荒木
4年になっても活動は出来るので、残り1年は活動しようと思っています。
ヨット部の部長さんですか?
荒木
主将です。
Ⅱ:ヨット部に入部
なんでヨット部に入ろうと思ったのですか?
荒木
新入生歓迎会の時に勧誘されて入りました。
ヨット部が試乗会というのをやっていて、それに参加して入部をきめました。
ヨットって、風上に向かって進めますし、かなりスピードが出ますね。
荒木
揚力の関係で風上に向かって進めます。スピードも迫力があります。強風の時は、原付くらいのスピードになります。
最初は怖かったですが、試乗会の終わりの頃は結構慣れることが出来ました。楽しいという感触が湧いてきました。
その年に何人くらいヨット部にはいりましたか。
荒木
同期は7人です。我々の世代の前はコロナの影響もあって、一学年2~3人くらいで小規模な活動だったようです。
今部員は何人いますか?
荒木
4年生2人が先日引退しましたので、今は17人です。
新入生はどのような感じで勧誘していますか?
荒木
4月の新入生歓迎期間にビラ配りとか呼びかけで勧誘します。話しかけて、江の島にある合宿所で開催する試乗会に来てくれる人もいます。
試乗会の後、食事をして懇親を深めます。来てくれた方は、大体入ってくれますね。
新入生オリエンテーションでは、各サークルがブースを開設して、新入生が訪れてくる感じです。

新入生オリエンテーションの様子
ブースは何処に作りますか?
荒木
今年の工学部では、幾つかのサークルが各教室に分かれて設けました。
少し前にOBの方から、「ヨット部に部員が入らなくてどうしようか」という相談を受けたことがあります。
荒木
そういう時期もありましたが、2020年くらいから部員が入るようになったそうです。
自分が入ったときは、復活してから4年目の年でした。
その相談を受けたときは、ヨットは静岡県に係留していたようですが、今はどこに係留していますか?
荒木
今は合宿所のある、江の島です。その合宿所はOBが所有している普通の一軒家です。
合宿所の他に部室はありますか?
荒木
工学部の寮の西側のサークル棟にあります。
工学部の部室は年に1回場所が変わるようですし、夜は8時までしかいられないみたいですね。不満は無いですか?
荒木
週に1回、江の島に通っていますので、それほど不満は感じていません。
活動場所が江の島で、部室はミーティングに利用したり、荷物置き場になったりしています。
農学部の人達は、部室に来るよりも江の島の合宿所に行くという感じですか?
荒木
農学部は部室が無いので、平日に顔を合わせることはほとんどありませんが、土日に合宿所で一緒に活動しています。
木曜日は、土日どのような活動をするか話し合いをします。その時はラインのグループ電話でミーティングします。
合宿所はOBの方の所有のようですが、今でもOB会というのはありますか?
荒木
あります。OB会には100人くらいいらっしゃいます。OB会との繋がりは強いです。年末のOB会には現役は必ず参加します。
あと、OBとのメールグループで大会開催案内とかお知らせしたり、練習日のご案内をしたりしています。大会には、多くのOBの方が応援に来てくれます。その他にも、係留のための費用を援助していただいたりしています。
係留費はどれくらいですか?
荒木
1艇の係留費が、年間11万円くらいです。5艇ありますから55万円くらいですね。
モーターボートもあって、それはもう少し金額がかりますね。
そもそもヨットはどのようにして買ったのでしょうか?
荒木
購入について以前のことは分かりませんが、自分たちの時に1艇買っていて、現役学生とOBが協力して買いました。一艇200万円くらいです。
新艇購入基金でも積み立てていましたが、OBの方々の支援も大きいと思います。みんなの思い入れがないとできないことだと思います。
それでも不足を生じましたので、今回はクラウドファンディングで40万円を寄附していただきました。

新しく購入したヨット
ヨット部では、部費をどのように徴収していますか?
荒木
傾斜方式を採用していて、学年が進むにつれて高くなるようにしています。
部費だけでは賄えないでしょうから、OB会の力が無いと運営できませんね。
荒木
そうですね。自分たちもアルバイトをしたりして捻出していますが、先輩の力が無いとやっていけません。
アルバイトは何をしていますか。
荒木
カフェでアルバイトをしています。週2日ですが一日5時間くらいやります。カウンターでコーヒーを入れて、カウンターでお渡ししています。アルバイト代は、ヨットにつぎ込んでいる感じです。
奨学金はもらっていますか?
荒木
もらっていないです。奨学金は返すのが大変というのを聞いていて、親もそのことはよく分かってくれていて、学業に関する部分は支援してくれます。とても感謝しています。
以前取材した自動車部も、結構費用がかかって大変みたいですね。馬術部はもっと大変で、OB会がかなり支援してくださっているようです。
荒木
そういった意味でも、OBの方々には大変お世話になっています。
OBの方々はヨットに乗りに来たりしますか?
荒木
OBの方々は、一緒に乗って練習のお手伝いをしてくれています。大会があるときは、応援に来てくれます。
OBの方が、「学生のサークルを支援し続けるというモチベーションがどこから生まれるのかな?」といつも思います。
荒木
自分たちも、一方的に支援してもらっているので、申し訳ないなと思っています。
ヨット部を継続させたいということが大きいのでしょうか?
荒木
自分たちは、先輩たちから引き継いだヨット部を、継続させていく事が使命だと思っています。
一度は廃部寸前にまでなったという事もありますし、マイナーな競技でもあるヨットという競技を広めて、発展させたいと思っています。
そのことが、良い成績を残したいという気持ちに繋がっています。みんな、部を発展させていきたいと考えています。皆、色々なアプローチを考えていると思います。
Ⅲ:ヨット部の活動
練習はどれくらいの頻度で行っていますか?
荒木
毎週江の島の合宿所に通っています。
土曜日に行って泊まって日曜日練習して帰ってくるという感じですね。ほとんどの部員が来ますが、強制ではなく学業優先で参加をしています。
江の島では、食事はどうしているのですか?
荒木
先輩が住んでいるわけではなくて、お宅を自由に使わせてくれているので、自分たちでキッチンを利用して作っています。もちろん、家賃は払っています。
合宿所の食事当番は決まっていますか?
荒木
料理が好きな人がいて、その人を中心に作っています。
練習後は、体に潮がついていて風呂に入らなければなりません。食事当番は、特権で優先して入ることが出来ます。
毎週合宿しているような感じで、会話も弾みます。


合宿所での様子
合宿所はどのあたりにありますか?
荒木
モノレールと江ノ電の駅の近くです。ヨットの繋留所までは、歩いて25分位です。
江の島はお洒落だし、ご両親は「かっこいい部活に入ったね!」と言っているのじゃないですか?
荒木
そうですね、初めはびっくりしていました。
ファミリーデーというのを設けていて、その日に現役部員の家族の人をヨットに乗せるというイベントをやっています。その時、一緒にヨットに乗ってもらいました。親孝行ができたかなと思います。
素直に表現できてはいませんが、もっと親孝行したいと思っています。
初めての人は、どういう事から練習を始めますか?
荒木
高校時代からやっていた人はわずかで、ほとんどの人が大学に入ってから始めています。基本動作練習から始めて、繰り返し練習します。
ヨットには2人しか乗れないので、1対1の練習という事になりますね。
荒木
そうですね。マンツーマンで手取り足取り教えてくれます。
皆でやっている楽しさもありますよね?
荒木
合宿所で時間を共有することもそうですが、皆でレースという共通する目的に向かって活動するという事も、楽しいですね。
ヨットの大会は年間どれくらいあるのですか?
荒木
団体戦と個人戦があります。
大学の団体戦は、1チーム3艇出す決まりです。春と秋にあります。一番目指している大会は全日本インカレという大会です。秋インカレがメインの大会で、その前哨戦として春インカレがあります。
個人戦は、3艇という制約は無くて、個人的に参加します。
成績はどうですか?
荒木
団体戦に関しては、悔しい結果が続いていますが、女子の個人レースでは、関東での予選を勝ち抜いて、全日本女子インカレに出場したりしています。
大会は公立も私立も一緒にやっていますか?それと、どれくらいの大学が参加していますか?
荒木
公立も私立も一緒に参加します。秋の団体戦が大きな大会ですが、関東地区は大学数が多いので、予選と決勝に分かれています。
予選は8校の決勝シード校以外の大学で争います。今年の秋の大会には、14校参加しました。決勝は15校くらいです。
大学が使っているヨットには、オリンピックで使う470級と、農工大が使っている2人乗りのスナイプ級があります。
1校3艇まで参加できますので、予選だけで30艇以上参加します。
何処の大学が強いですか?
荒木
関東だと、早稲田・日本大学・慶応が強いですね。
大会でシード校になれるといいですね。
荒木
道のりは簡単ではないですが、それを目指して全員で頑張っています。
レースは何処で開催されますか?
荒木
春と秋のインカレは、葉山で開催されます。その他の大会は江の島開催です。葉山までは、ヨットで移動します。海のルールはありますが、事前に申請して移動するわけではありません。


レースの様子
ヨットのメンテナンスも自分たちでやっていますか?
荒木
簡単な修理は自分たちでやっています。自分たちで直せない時は、江の島にある修理工場に持ち込んでいます。
一回レースをやるとぶつかったりして、結構外側は傷つくときがあります。そんなときの塗装は修理工場にお願いしています。
レースで壊れたりするのですね。
荒木
皆勝ちたいので、コース取りも結構攻めますので、他艇とぶつかることは良くあります。穴が開くとパテで埋めたりします。
スタートラインがあって、風上と風下にある2つのマークを回って2往復します。一斉に艇を進めて自分に有利なポジションを取ろうとします。
コーナリングが重要です。特に風上のマーク付近は、多くのヨットが密集します。そこではぶつかったり、大きな声が聞こえたりします。
レース中自分の大学のヨットはすぐわかりますか?
荒木
わかります。船の横に大学名が書いてあります。帆に各大学のマークがついていたりもします。
帆を作ったりするにも、結構お金がかかりそうですね。
荒木
お金がかかる部活ですが、4年間そういった事を乗り越えて活動することに意義を感じています。
合宿所でお酒は飲みますか?
荒木
未成年の人は当然飲みませんが、年長者もほとんど飲みませんね。忘年会でも、そこまで飲む人はいないですね。
私が入学したころの新入生歓迎コンパで、先輩から無理やり飲まされたりしましたが、古き良き時代なんですね…
荒木
そうですね、大学全体でもそのルールは厳格に守られていますね。
だいぶ前の先輩の話だと、大会が終わった後他大学の合宿所に行って、朝まで飲んで「ここ何処?」みたいなことがあったそうですが、今はそんなことはありません。
他大学でも、ヨットに時間がとられていて、お酒飲むモチベーションが無いといった状況のようです。
ヨットをやっている人は、真面目な人が多いという印象です。
Ⅳ:最後に
新しく大学に入ってくる人たちに、ヨット部の魅力を伝えるとすると、どの様なことになりますか?
荒木
ヨットは、ほとんどの人がかかわってこなかったスポーツだと思います。
ヨットは、海の上を走る感覚が爽快ですし、大学4年間夢中になれます。社会人になってしまうと、時間を取るのが難しくなると思います。学生時代にヨット部に入って皆で合宿所に泊まり込んで、勝ちを目指すという経験をして欲しいと思います。
ヨット部は、少人数の部活ではあるので、部員全員の仲が良いという事が居心地の良さに繋がっています。仲良く一つの目標に向かって切磋琢磨しているのが魅力だと思います。
毎週のようにサークルの仲間と合宿が出来て、かけがえのない繋がりになると思いますよね。
荒木
大学4年間の多感な時期に、経験したことは将来にも生かされると思います。そういった意味でも、大学生活を充実したものにしたいと考えています。
今の友達は財産ですので大事にしてください。
荒木
合宿所で、色々な考え方の人と話し合えています。衝突もしたりしますが、試合に勝つという同じ目的に向かった意見の違いだったりします。
馬術部とか自動車部とか、ヨット部と共通な側面がありますよね。それで、どこの部も仲がいいですね。
荒木
農工大生は真面目だし優しいので、話しやすい人が多いと思います。
農工大生は、口だけでなくてよく動いてくれるという評価がありますね。私は、いい大学を卒業したなと思っています。
これからもヨット部での活動を楽しんでください。本日はありがとうございました。
荒木さんへのインタビューの感想
荒木さんのお話を聞いて、廃部の危機を乗り越えて、ヨット部の活動が盛んにおこなわれていることを知って、ホッとしました。OBとの関係も良好なようでとても良かったです。
荒木さん自身も将来の夢を追いながら、ヨット部での学生生活を楽しんでいるようで、一本の筋が通っていると思いました。合宿所で毎週仲間たちと仲良く活動している様子が、目に浮かぶようでした。
社会人になっても、ヨットのことは忘れずに趣味として大事にして、OBとして後輩の支援をしてほしいと思いました。
こうほう支援室池谷記



